Thursday, September 27

マスターのレコード波瀾万丈日記 vol.7



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先日のDUG OUT当日の話。

私はDJをする当日にレコード屋に行かないと
気が済まない性分でして、
また、そこで一枚でも買って、
当日のDJにてプレイする楽しさを味わっております。

この日もおおよそ集合時間にフライング気味に
電車に乗り込んだわけであります。
ガランと空いた小田急線に揺られ、
しばらくして時計を見てみますと、
集合時間までには一時間以上の余裕がありましたので、
私の思惑通り、今日もレコード探索であります。

いつもでありますと、
渋谷・新宿・神保町のいずれかに足を運ぶわけでありますが、
この日は普段足を運ばない場所へでもと思い、
完全アウェー下北沢にて途中下車をしたわけであります。

下北沢。

私のイメージは小さい上野。
臭い。魚屋。

ろくなイメージがございません。

ゆっくりする時間もなかったわけでありまして、
老舗「良質音響」へと思い、
小走りに進んでいく間に気付きました。

「そうだ。閉店したんだよ。」

気付くの遅い。
と、行く宛がないままに歩いておりますと、
右前方方向ににレコード屋を発見致しました。
見るところ狭い店内に人影もなく、
カウンターには店主が一名。
遠めに飾られているレコードを拝見するも、
触手が動くようよなブツもなかったわけですが、
差し迫る時間との戦いがございますので、
取り急ぎという形で、
この店にゆっくり腰を据え
軽く数枚程を買おうと思ったわけであります。

店内を端から順に探索するも、
めぼしいブツが見当たらないため、
照準を7inchに切り替えたはいいのですが、
知識が不十分な為に
試聴をしたい思いにかられたわけであります。
が、試聴器がレジ前な為、思うような行動がとれず、
悶々としていたところに、
店主がなにやらとBGM用にLPを取出し、
ターンテーブルに針を落としたのでございます。

そこで流れたBGMは、最近、私が買い集めている
小刻みなカッティングギターが心地よい、
年代的によるものなのか、
どこかDISCOの雰囲気をもったSOULでありました。
私は店内のBGMに耳を傾けながらも、
さらにとレコード探索を続けました。


流れているBGMが2曲、3曲と進むのを聞いていますと、
とても素晴らしい内容であったため、
私は探索を止め、店主に声をかけたのでございます。

オレ「これ、とても良いですね。もし良かったら売ってもらえないですか?」

店主「いやぁ・・。まだ値段つけてないんだよね・・。」

値段をつけてない。

ここからは勝手な想像となるわけでございますが、
この店。
あきらかにバイトを雇う程の売れ行きは見込めない様子であるのは、
誰しもが納得するところである故、
どう考えても値段をつけるのは、
そこの、お前。そう、あなた。店主のあなた。
いやね、こうやってブラリと寄った客に手土産の一枚くらいと思って、
その場で値段つけて売ってくれたっていいんじゃねーのか。

いや、いいんだよ。

別にね、この風体がね、気に食わないだとかね、それで売りたくない。
わかるよ、わかる。
アンタんとこみたいに常連さんには蔵出しみたいな、
「まだ誰も知らないよ。」ってな感じでさ。
これぞ粋だぜ、みたいな感じて商売するのが、アンタの商売の仕方で、
いい旅、夢気分でブラリ寄った輩に売りたくないのはわかるよ。
だけどさ、こうして始まる繋がりっての大事じゃないか。
目と目があったらミラクルって牧瀬里穂も言ってたじゃないか。

少し面食らってしまいましたが、私は続けました。

オレ「じゃあ、しばらくしたら店に出しますか?」

店主「・・まだ、決めてないんだよね・・。」

オイオイ。

今、決めろ。即刻決めろ。

いやぁ、あきらめるよ。あきらめる。
オレが悪いんだよ。初対面の相手に気やすく話し掛けたオレが悪かった。
これじゃ、夏になると大量発生する江ノ島ギャル男と一緒じゃんか。
ビーチでビッチを端から端まで声かけまくるギャル男とだよ。
そうそう。オレはナンパ失敗したんだよ。
レコード屋店主をさ。いやぁ、オレも今年で29歳なんだからさ。
しっかりしなきゃね。やっぱさ、初対面の人間にお近付きになるにはさ、

「mixiやってますか?」

これでしょ。これっきゃない。これが21世紀の、
このご時世のご挨拶でしょ。これに尽きる。で、

「マイミク送っときますよ。」

これ。そりゃ、レコードの為にはさ、なんでもするさ。
下から下から。ドッコイソリャー。
ドッコイ、ドッコイ。
担いで担ぎまくるよ。これで強固なガードも簡単に崩せるわけさ。
店主も御輿に昇ってピースサインで、記念撮影さ。マイミクだからさ。
もう、十年来の友人と同等さ。これで万事解決。モウマンタイ。

それからはコミュニティ作っときますよ。とかいってさ。
上手いことやりゃー良かったんだよ。
トピック立てちゃいましたよ。なんつってさ。
いやぁ、不器用だよ。高倉健とほぼ同等だよ。
下手したら喰われるよ。

でも、もう遅いんだよ。知ってるかい?
恋ってのはさ、作り上げるものじゃないんだよ。

「恋はその瞬間に、その場にあるものなんだよ。始めからあるものなんだよ。」

もう一回言っとく。

「恋はその瞬間に、その場にあるものなんだよ。始めからあるものなんだよ。」

そうさ、オレと店主との恋愛は見事に叶わなかったわけさ。
オレの全部嘘さ、恋じゃないさ、梅雨の恋はまやかしさ。
リゾラバ気分のオレに喝だったのさ。


だがね、こういう展開でこそオレは燃える奴ったはずだ・・。。

オレの名前を言ってみろ・・。オレは誰なんだよ・・。
オレの名前は三上さとし・・。

そう、あきらめの悪い男・・。

オレ「すいませんが、ジャケットだけでも見せてもらえませんかね?」
店主「・・はぁ・・。ハイ・・。」

「SPECIAL DELIVERY/S.T」

心の声
(テリーハフのあれかぁ...。見つかりそうだな...。てか、これレアでもなんでもねーだろ。)

数秒でレーベルなど主要部分を暗記し、直ぐ様撤収。
若かりし頃ならば、店前で放尿、脱糞、致すとこではございますが、
そこは28歳。
大人の貫禄でございます。

次の日、会社のPCで検索。
私、PC持っておりません。あまりにも腹が立ったので、
早いトコ見つけてしまおうと思ったわけでございます。

で、ありました。

代々木のCOCONUTS DISCに。
電話をして、取り置きしてもらい、
次の日、無事に購入。(とても親切な対応に感謝。)
2000円。

2000円で取り置きって。
どうかしてるぜ、最近YO。

レア盤じゃねーのに、売らない下北沢「**** ********」
どうかしてるYO。二度と行きません。

待て、次回。

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